前回まで長々と『飛行機ギター運搬』 について書いてきました。
今回は、モザンビーク〜日本間の移動中、読んだ本があったので紹介します。
安土桃山時代の絵師、狩野永徳が主人公の小説です。
作者は、山本兼一氏。
歴史上の人物の心理描写が絶妙で、
他にもいくつかの著作を読んできました。
利休にたずねよ
これは映画化もされてます。
初めて読んだ山本兼一さんの本がこれでした。
文量は結構なものでしたが、夢中になって読み切った憶えがあります。
火天の城
安土城を建築した大工、岡部又右衛門が主人公の本。
『花鳥の夢』で狩野永徳と話す場面があって、小さな感動。
これも映画化されていたようです。
山本さん原作の映画、未だ一作も見れておらず。。
信長死すべし
明智光秀が主人公の歴史小説。
ここでも信長登場。山本さんはこの時代が得意なんだろう。
明智光秀といえば、数年前子孫の方がメディアに現れて、
本能寺の変の新説を主張してましたね。
花鳥の夢を読んで
脱線してしまいましたが、花鳥の夢を読んだ感想を。
狩野永徳といったら、歴史上かなり有名な人物で、
ご存知の方も多いと思います。
でも、一体どういう人間だったのか。
信長や秀吉に認められるほどの絵師だった永徳は、どんな生涯を送ったのか。
本作では、永徳の日々の葛藤や絵への情熱が見事に表現されています。
狩野家、エリート一家なんです。
狩野派と呼ばれる集団を統率していた永徳は、
エリートならではの悩みを常に抱えてます。
・俺の描きたい絵はなんなんだろう?
・あいつの絵は、品がない。狩野の絵は品を兼ね備えた芸術品である(そう、自分に言い聞かせる)。
絵に対する情熱が強いばかりに、
平凡な父親や、才能あふれる他の絵師に突っかかりまくります。
人格者、といえるほど人間のできた人物としては描かれていませんが、
なんだろう、ひどく好感を抱きました。
命を注ぎ込んで描き上げた絵が、戦によって一瞬で燃えてしまう。
時の為政者に注文されることの多かった永徳、描いては壊されの連続です。
普段スポットライトを浴びない歴史上の人物が、
非常に生き生きと描かれている良作、と評価。
飛行機の中で夢中になって読みました。
(ギター運搬のことを時々思い出しながら、ですが)
今回は以上です。