書評

【書評】花鳥の夢 / 山本兼一

前回まで長々と『飛行機ギター運搬』 について書いてきました。

 

今回は、モザンビーク〜日本間の移動中、読んだ本があったので紹介します。

 

安土桃山時代の絵師、狩野永徳が主人公の小説です。

作者は、山本兼一氏。

 

歴史上の人物の心理描写が絶妙で、

他にもいくつかの著作を読んできました。

 

利休にたずねよ

 

これは映画化もされてます。

 

news.aol.jp

初めて読んだ山本兼一さんの本がこれでした。

文量は結構なものでしたが、夢中になって読み切った憶えがあります。 

 

火天の城

 

安土城を建築した大工、岡部又右衛門が主人公の本。

『花鳥の夢』で狩野永徳と話す場面があって、小さな感動。

 

hm-hm.net

 

これも映画化されていたようです。

山本さん原作の映画、未だ一作も見れておらず。。 

 

http://image.moshimo.com/af-img/0337/000000015750.gif

信長死すべし 

明智光秀が主人公の歴史小説。

ここでも信長登場。山本さんはこの時代が得意なんだろう。 

 

明智光秀といえば、数年前子孫の方がメディアに現れて、

本能寺の変の新説を主張してましたね。

 

www.asagei.com

 

花鳥の夢を読んで

脱線してしまいましたが、花鳥の夢を読んだ感想を。

 

狩野永徳といったら、歴史上かなり有名な人物で、

ご存知の方も多いと思います。

 

でも、一体どういう人間だったのか。

信長や秀吉に認められるほどの絵師だった永徳は、どんな生涯を送ったのか。

本作では、永徳の日々の葛藤や絵への情熱が見事に表現されています。

 

狩野家、エリート一家なんです。

狩野派と呼ばれる集団を統率していた永徳は、

エリートならではの悩みを常に抱えてます。

 

・俺の描きたい絵はなんなんだろう?

・あいつの絵は、品がない。狩野の絵は品を兼ね備えた芸術品である(そう、自分に言い聞かせる)。

 

絵に対する情熱が強いばかりに、

平凡な父親や、才能あふれる他の絵師に突っかかりまくります。

 

人格者、といえるほど人間のできた人物としては描かれていませんが、

なんだろう、ひどく好感を抱きました。

 

命を注ぎ込んで描き上げた絵が、戦によって一瞬で燃えてしまう。

時の為政者に注文されることの多かった永徳、描いては壊されの連続です。

 

普段スポットライトを浴びない歴史上の人物が、

非常に生き生きと描かれている良作、と評価。

 

飛行機の中で夢中になって読みました。

(ギター運搬のことを時々思い出しながら、ですが)

 

今回は以上です。

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