先日、こんな魅力的なタイトルの本に出会いました。
今、曲がりなりにも翻訳や語学教師で収入を得ているので、こうした本で語学に対する理解を深めることは重要。
そう思い、早速Kindleで購入し読んでみました。それでは、これから紹介します。
本書の構成
本書は次のように構成されている。
- 語学力を生かす三つの道
- 語学スペシャリストの三つのタイプ
- 語学エキスパートになるための資質
- 分野別キャリアアップ戦略
- 現状分析 〜いまなにをするべきか
- 語学専門家になるための勉強法
- 語学学習メソッドの種類と特徴
- 各国翻訳市場概観
- プロモーション戦略 〜いかに仕事を獲得するか
- ケーススタディ 〜語学で身を立てている人々の実際
- FAQ 〜頻繁に受ける質問
順序立てて話が展開していくので、頭に入りやすい。
全体を通して感じたのは、
語学で仕事を得るには、生半可な勉強じゃあダメ
というメッセージ。
この本を読み終わった後、やる気になるのか意気消沈するのかは、その人の覚悟次第だろう。
語学で身を立てるには
この本を読んだ目的は、
- 語学を仕事へ繋げる方法
- 語学を仕事レベルまで高める方法
の2つが知りたかったからだ。
以下、それらについて得た情報を整理しておく。
1. 語学を仕事へ繋げる方法
本によると、語学を生かした職業は、次の3つに分類される。
(1)語学の専門家になる(スペシャリスト・コース)
(2)会社に勤めて組織の中で語学力を武器にする(ビジネスマン・コース)
(3)語学力を武器にして自分でビジネスを開く(起業家コース)
重要なのは、この3つの内、自分の目指す道はどれかを選択することだ。
スペシャリスト:翻訳家、通訳、ガイド、語学教師のような職種で専門性を深めていく道
ビジネスマン:組織の中で語学力を生かした仕事をしていく道
起業家:語学を軸としたビジネスを展開していく道
あなたが目指す道はどれだろうか。
2. 語学を仕事へ繋げる学習法
語学を仕事へ繋げるためには、語学力自体の強化に加え、
・日本語の文章表現力(国語力)
・一般教養、雑学知識
の養成が求められる。
例えば、僕がいくらポルトガル語を理解していても、それを的確な日本語で表現する力がなければ、仕事へ繋げることはできない。
また、一般教養がないと、何について書かれている・話されているのかが理解できない。
例)モザンビークの地名を知らない人が、いきなり「Nacala」という単語を聞いても、何を意味するのかわからない
理想としては、語学学習と並行して、国語力や一般教養を深めていくといい。
言語習得の理想的なプログラム
語学を習得するためには、下記のようなステップを踏むといいようだ。
ステップ1:文法体系の把握
ー 最初に該当言語の初級文法をみておくことが大事
ステップ2:平易な現代文の精読
ー 150ページほどの現代文を、辞書を引き、文法書をみながら精読
ステップ3:作文(和文外国語訳)演習
ー 基礎的な文章200題ぐらいを作文できるか試す
ステップ4:会話練習(独習)
ー 音声教材のついた良質な会話の教科書を使う
ー 会話例を聞きまくる
ステップ5:外国人との会話練習
ステップ6:ダイレクトメソッドを導入しての専門分野の学習
ー 自分が語学を始めたモチベーションとなっている分野の勉強を行う
自らを振り返ると、ステップ1〜3の基礎的な勉強を疎かにしている。
特に文法は、本書を通じて度々重要性が指摘されているので、これを機に一度おさらいしたい。
読解力・翻訳能力をアップさせる
・正しい読解には、まず文の構造を把握する。
・文の構造を把握した後は、文を直訳し、自然な言い方の日本語を考える。
→ 日本語の表現能力が求められる。
・翻訳が上手くいかない時は、下記原因を疑ってみる。
① 分析が間違っている
② ファンタジー(想像力)が欠如している
③ その言語圏の文化的バックグラウンドに関する知識が欠如している
④ 書かれている内容の専門的知識がたりない
⑤ わかっているつもりの語彙が別の意味を持っていることを知らない
⑤については、最近ポルトガル語の個人指導をしていて感じる部分だ。
単語の意味を一つしか知らない場合、その覚えている意味が文章翻訳にマッチしないと、頭がフリーズする。
多くの文章に触れていく中で、単語の持つ意味を複数覚えていくことが重要だ。
作文力をアップさせる
・いきなり自由作文から入るのではなく、初めは簡単な外国語作文から練習する
・地道に自分で答えを探す必要のある問題事項として、下記事項が挙げられる
①冠詞と名詞の単複の選択
②動詞の時制や法の選択
③前置詞の選択
④語順の判断
⑤複数の類義語からベストな単語を選択
⑥日本語を直訳すると変な文になる
上記の問題点は、僕も文章作成の時よく直面する。
これらを解決させるためには、いろいろな参考書にあたったり、ネイティブに意見を聞いて経験を積んでいく必要があるとのこと。
語彙を増やす
・単語本に頼らない
・実際に触れた単語を自分で整理し、覚えていくことで、自在に使える語彙を増やす
・「造語法」「語源」「音韻変化」の基礎を学ぶ
話す力をアップさせる
・作文能力が話力に関係している
→ 簡単な作文をたくさん練習して鍛える
・日常使う慣用表現、繋ぎ言葉、あいづちは丸暗記
・一般教養や雑学知識を深める
聞く力をアップさせる
・まずは語彙力と文章解析能力を鍛える
おわりに
いかがでしたか?
本書は、今回触れた部分以外にも、「語学で身を立てる」ための有益な情報が詰まっているので、興味のある方は是非読んでみてください。
それでは、また。